【Ⅰ列王記22:45~50】(2024/10/27)


【22:45】
『ヨシャパテのその他の業績、彼の立てた功績とその戦績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。』
 『ヨシャパテのその他の業績』とは、聖書で書かれていないヨシャパテが為した業績のことです。それがどれぐらいあったかは分かりません。『彼の立てた功績とその戦績』も、やはりどういった内容なのか、またその数はどれほどだったのか、私たちには分かりません。それらは『ユダの王たちの年代記の書にしるされている』のですが、その文書は既に失われていますから、その内容を私たちが知ることは出来ません。神がそれらの情報を不要とされたのですから、私たちはそれを知らないままで満足しているべきでしょう。

【22:46】
『彼は、父アサの時代にまだ残っていた神殿男娼をこの国から除き去った。』
 ヨシャパテが王になるまで、ユダ王国にはまだ『神殿男娼』が残っていました。この神殿男娼とは、神殿の場所にいて、聖なる口実を設けて事に及ぼうとする腐った者どもです。この者たちは、不品行の罪を聖なる儀式に偽装させます。このため、純粋で素直な女性たちは騙されて罪の交わりに進んでしまうのです。この『神殿男娼』が、この時のユダにどれぐらい存在したかは分かりません。かなり存在していたかもしれません。この存在はユダヤだけでなく、他の国々でも見られた一般的な存在でした。しかし、ヨシャパテはこの神殿男娼をユダの中から『除き去』りました。死刑にしたのか、追放したのか、職を奪い取ったのか、どのようにして除き去ったかは分かりません。いずれにせよ、ヨシャパテはこの腐敗者たちを、ユダの国から全く除き去ったはずです。このようにヨシャパテがしたのは正しいことでした。何故なら、神殿男娼は神の御心に適わず、ユダヤの国に決して存在するべきではないからです。ヨシャパテは『高き所を取り除かなかった』のですから、この点で非難されるべきですが、しかし神殿男娼を除き去った点は非常に良いことでした。『父アサの時代に』まだ神殿男娼が残っていたというのは、ユダ王国の堕落性をまざまざと示しています。もし本当に聖く正しく歩んでいたとすれば、ユダ王国にこのような存在は少しも見られなかったはずだからです。

【22:47】
『そのころ、エドムには王がなく、守護が王であった。』
 ヨシャパテが王であった頃、エドムの国には王が存在しませんでした。『エドム』とはエサウの子孫たちの国であり、エドムとはすなわちエサウのことです。エドムの国は死海の南に広がっていました。この頃のエドムは王を持たない代わりに『守護が王で』した。この『守護』とは、もし王がいればその王の下で各地を統治する支配者たちのことでしょう。この『守護』がエドムにどれぐらいいたかは分かりません。民衆は支配者を抜きには纏まれませんから、このようにエドムで守護が王になっていたのは自然なことでした。

【22:48】
『ヨシャパテはタルシシュの船団をつくり、金を得るためにオフィルへ行こうとしたが、行けなかった。船団がエツヨン・ゲベルで難破したからである。』
 『オフィル』とは、金の産出で非常に有名な場所でした。『オフィルの金もこれに優らない。』とヨブ記では書かれています。ヨシャパテは、このオフィルに『金を得るため』行こうとしました。金を得れば、財政の大きな力となるからです。そのため、『ヨシャパテはタルシシュの船団をつくり』ました。この『船団』の詳細はよく分かりません。しかし、ヨシャパテはオフィルに行こうとしたものの行けませんでした。それは『船団がエツヨン・ゲベルで難破したから』です。この難破における被害がどれだけだったかは分かりません。いずれにせよ、ヨシャパテがオフィルで金を得るのは神の御心ではありませんでした。ですから、神はヨシャパテにオフィルの金を与えられませんでした。何事であれ神の御心でなければ、神から与えられることはないのです。しかし、御心ならば神が御恵みによりそれを与えて下さるのです。

【22:49】
『そのとき、アハブの子アハズヤはヨシャパテに、「私の家来をあなたの家来といっしょに船で行かせましょう。」と言ったが、ヨシャパテは承知しなかった。』
 ヨシャパテの船団が難破した事故は、かなり大きな知らせになったと思われます。それはユダだけでなくイスラエルにも知れ渡ったはずです。イスラエル王である『アハブの子アハズヤ』も、そのことについて知ったでしょう。このアハズヤは、難破のことを知ると、自分の家来をオフィル遠征に協力させると申し出ます。アハズヤがどのような意図から、このように申し出たかは分かりません。自分も金の分け前に与かろうとしたのかもしれませんし、単に協力しようとしただけに過ぎないかもしれません。しかし、この申し出に対し、『ヨシャパテは承知しなかった』のです。どうして承知しなかったかは分かりません。ただヨシャパテは承知しないほうが良いと思ったので承知しなかったことは確かです。神は、このようにアハズヤがヨシャパテと協働することを許されませんでした。アハズヤは悪しきアハブの子でしたから、ヨシャパテは神から悪い影響を受けないように守られた可能性もあります。

【22:50】
『ヨシャパテは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともに父ダビデの町に葬られた。』  こうしてヨシャパテは死ぬこととなりました。彼が何歳の時に、またどのようにして死んだのかは、何も書かれていません。彼が葬られた『ダビデの町』はベツレヘムのことです。ダビデがヨシャパテの『父』と言われているのは、ヨシャパテの先祖を辿ればダビデに至るからです。