【Ⅱ列王記3:25~4:1】(2025/02/23)


【3:25】
『さらに、彼らは町々を破壊し、すべての良い畑にひとりずつ石を投げて石だらけにし、すべての水の源をふさぎ、すべての良い木を切り倒した。』
 先に神が言っておられた通りのことが、全て行なわれました。モアブがこのようになるのは実に悲惨です。このようにしてモアブは呪いを注がれたわけです。ここで言われている内容は全部で4つですが、この「4」に象徴的な意味は無いでしょう。モアブがこのような悲惨を受けたのは、彼らの罪が原因だったのでしょう。後の箇所から分かる通り、モアブ人は偶像崇拝者だったからです。偶像崇拝をする者には厳しい罰が下されるのです。

『ただキル・ハレセテにある石だけが残ったが、そこも、石を投げる者たちが取り囲み、これを打ち破った。』
 『キル・ハレセテ』とはモアブの首都です。この首都『にある石だけが残ったが』と書かれているのは、つまりここだけまだ打ち破られていなかったという意味でしょう。他の場所は打ち破られて石さえも見られないほど荒らされたのです。しかし、この首都も『石を投げる者たちが取り囲み、これを打ち破った』のです。首都さえもモアブは悲惨にされました。つまり、モアブは完全敗北に至ったわけです。

【3:26】
『モアブの王は、戦いが自分に不利になっていくのを見て、剣を使う者七百人を引き連れ、エドムの王のところに突き入ろうとしたが、果たさなかった。』
 イスラエル王たちが大いに攻めたので、『モアブの王は、戦いが自分に不利になっていくのを見』ました。神がモアブに敗北を定めておられたからです。このため、モアブ王は『剣を使う者七百人を引き連れ』て、エドム王のもとに突き入ろうとします。これは何とかしてエドムだけでも打ち破ることで、事態の打開を図ろうとしたのでしょう。しかし、その企みをモアブ王は『果たさなかった』のです。神がモアブに呪いを注いでおられたからです。何事であれ御心でなければ成らないものです。日本も敗北に定められていたので、第二次世界大戦で敗北するしかありませんでした。

【3:27】
『そこで、彼は自分に代わって王となる長男をとり、その子を城壁の上で全焼のいけにえとしてささげた。』
 もうモアブの敗北は決定的な状況となっていました。『そこで』モアブ王は『自分に代わって王となる長男』を『城壁の上で全焼のいけにえとしてささげ』ました。『ささげた』対象は、モアブで拝まれている偽りの偶像神でしょう。これは『全焼のいけにえ』ですから、つまり長男は焼死したことになります。モアブ王がこうしたのは、悲惨な状況を招いたことに対する償いのためでしょう。つまり、国を守れなかった責任を負い、その代償として長男を犠牲に捧げたわけです。しかし、このような生贄を捧げても償いとはなりませんでした。このような行為は単なる罪深い偶像崇拝に過ぎないからです。

『このため、イスラエル人に対する大きな怒りが起こった。それでイスラエル人は、そこから引き揚げて、自分の国へ帰って行った。』
 イスラエル王たちが攻めてきたため、王の長男が犠牲に捧げられるという悲劇となりました。もしイスラエルがいなければ、そんなことは起きていなかったでしょう。『このため、』モアブでは『イスラエル人に対する大きな怒りが起こった』のです。このような怒りを見て、イスラエル人は戦いを切り上げとしました。怒りに燃えた者たちは、本来以上の力を発揮するものであるため、色々と厄介だからでしょう。何事にも「時」があるものです。イスラエルがモアブを攻めるのは、もうこれで完了する『時』となりました。

【4:1】
『預言者のともがらの妻のひとりがエリシャに叫んで言った。「あなたのしもべである私の夫が死にました。ご存じのように、あなたのしもべは、主を恐れておりました。』
 エリシャには『しもべである』『預言者のともがら』がいました。ところが、その預言者は死んでしまいます。どのような死因だったかは分かりません。その死んだ預言者は『主を恐れて』いました。つまり、主に従い、その御心を求めるような人でした。エリヤもそのような人でした。

『ところが、貸し主が来て、私のふたりの子どもを自分の奴隷にしようとしております。』
 死んだ預言者の妻がエリシャに叫んだのは、負債のことで悩みが生じたためでした。『貸し主が来て』『ふたりの子どもを自分の奴隷にしようとして』いたのです。つまり、負債を負わされている貸し主は、負債の解消と引き換えに預言者の妻の子どもを買い取ろうとしたわけです。その妻には負債を払えるだけの財産がありませんでしたから、負債を支払う代わりに子どもを奴隷として持って行かれようとしていました。しかし、子どもが奴隷として連れて行かれるのは、この妻にとり耐えられないことでした。けれども彼女はどうすることもできません。このため、夫の主人であったエリシャに何とか助けてもらおうと叫んだわけです。まだ預言者が生きている間は、致命的な問題は起きていなかったのでしょう。実際はどうか分かりませんが、貸し主が負債を取り立てるため来なかったか、来ても何とか対処できていたのかもしれません。いずれにせよ、夫の死により妻一人だけとなってから大きな問題が起きたのでしょう。