【Ⅱ列王記5:19~25】(2025/05/25)


【5:19】
『そこでナアマンは彼から離れて、かなりの道のりを進んで行った。』
 エリシャからリモン神殿のことで安心するように言われたナアマンは、こうして帰ることとなりました。らい病が癒されるというナアマンの目的は完全に遂げられました。その癒しにより真の神を知ることもできました。ですから、ナアマンの心には大きな喜びがあったに違いありません。エリシャの心にも喜びがあったことでしょう。このようにしてナアマンは『かなりの道のりを進んで行った』のですが、これはアラムまでの距離がかなりあったからでしょう。ナアマンが用意した贈り物は、渡されないまま持ち帰られることとなりました。ナアマンはそれを渡そうとして用意したのですから、予想外のことだったはずです。

【5:20】
『そのとき、神の人エリシャに仕える若い者ゲハジはこう考えた。「なんとしたことか。私の主人は、あのアラム人ナアマンが持って来た物を受け取ろうとはしなかった。主は生きておられる。私は彼のあとを追いかけて行き、必ず何かをもらって来よう。」』
 エリシャとナアマンのやり取りを、ゲハジは見ていたことでしょう。彼はエリシャに『仕える』者だったからです。ナアマンが帰った『そのとき』、このゲハジはエリシャがナアマンから贈り物を受け取らなかったため残念がりました。ゲハジからすればエリシャが贈り物を受け取らなかったのは理解できないことでした。そのため、何とかゲハジはナアマンからエリシャが受け取らなかった贈り物を受け取ろうと考えます。彼は『主は生きておられる。』と言い、贈り物を貰うことについて誓いさえしました。これはゲハジの思いが非常に強かったことを示しています。

【5:21~22】
『ゲハジはナアマンのあとを追って行った。ナアマンは、うしろから駆けて来る者を見つけると、戦車から降りて、彼を迎え、「何か変わったことでも。」と尋ねた。そこで、ゲハジは言った。「変わったことはありませんが、』
 こうしてゲハジは贈り物を受け取ろうとして、『ナアマンのあとを追って行』きました。すると、ゲハジを見つけたナアマンは『戦車から降りて、彼を迎え』ました。ナアマン自身がわざわざ応対したのは、彼が神と神の人であるエリシャに強い敬意を抱いており、このエリシャにゲハジが仕えていたからでしょう。もしナアマンがそのような敬意を持っていなければ、自分自身から応対したかどうか定かではありません。そしてナアマンが『何か変わったことでも。』と尋ねると、ゲハジは特にいつもと変わりませんから『変わったことはありません』と答えました。ナアマンは『かなりの道のりを進んで行った』のですから、ゲハジはナアマンに会うため、かなりの距離を追いかけたと思われます。この時に恐らくゲハジは一人だけで追いかけて行き、友とか仲間などは一緒にいなかったはずです。

【5:22】
『私の主人は私にこう言ってよこしました。『たった今、エフライムの山地から、預言者のともがらのふたりの若い者が私のところにやって来ましたから、どうぞ、彼らに銀一タラントと、晴れ着二着をやってください。』」』
 ナアマンと会ったゲハジは、エリシャが『預言者のともがらのふたりの若い者』のため『銀一タラントと、晴れ着二着』をあげてほしいと言ったとナアマンに話しました。これは嘘でした。エリシャのところにこのような2人はやって来ていなかったでしょうし、エリシャはここで言われているようなことを何も言っていませんでした。これは『偽証してはならない。』という戒めに全く違反していました。このような嘘をゲハジが言ったのは、ナアマンから贈り物を受け取ろうとするためです。どうすれば贈り物をナアマンから得られるかと考えたゲハジは、このようにすれば上手く行くと思いついたわけです。

【5:23】
『するとナアマンは、「どうぞ。思い切って二タラントを取ってください。」と言って、しきりに勧め、二つの袋に入れた銀二タラントと、晴れ着二着を、自分のふたりの若い者に渡した。それで彼らはそれを背負ってゲハジの先に立って進んだ。』
 ナアマンは、ゲハジが話したことを全く疑いませんでした。何故なら、ナアマンがエリシャの言った通りにしたら、神の素晴らしい癒しが与えられたからです。このため、ナアマンは神とエリシャに強い敬意を抱いていたはずです。ゲハジは、嘘でしたが、そのエリシャが言ったことついてナアマンに話しました。ですから、ナアマンはゲハジの言葉を疑うことなど全く考えられなかったのです。このようなナアマンでしたから、ゲハジが言った通りに贈り物を渡すこととしました。しかも、ゲハジが求めた1タラントの2倍である2タラントを渡すことさえしました。この気前の良さは、ナアマンの喜びがどれだけ大きかったかよく示しています。この時にナアマンが『どうぞ。思い切って』と言い『しきりに勧め』たのは、何としても贈り物を渡したかったからでしょう。とにかくナアマンは御礼として贈り物を贈りたかったのです。こうしてナアマンは贈り物を、『自分のふたりの若い者に渡し』、ゲハジの前に進ませ持って行かせました。この時のゲハジには大きな喜びが生じていたでしょう。このようになるため、ゲハジはナアマンを追いかけて行ったからです。

【5:24】
『ゲハジは丘に着くと、それを彼らから受け取って家の中にしまい込み、ふたりの者を帰らせたので、彼らは去って行った。』
 丘に着いた際、若い者からゲハジは贈り物を受け取ります。それを『家の中にしまい込』んだのは獲得するためです。そして、『ふたりの者を帰らせた』のはエリシャにも彼らにも嘘が知られないためです。もし彼らがエリシャのところにまで行ったとすれば、すぐに嘘がばれていたでしょう。ゲハジがこのようにしましたから、ナアマンも贈り物を持ち運んだ若い者たちも、ゲハジの嘘について全く気付かなかったことでしょう。

【5:25】
『彼が家にはいって主人の前に立つと、エリシャは彼に言った。「ゲハジ。あなたはどこへ行って来たのか。」彼は答えた。「しもべはどこへも行きませんでした。」』
 ゲハジが贈り物をしまい込んでからエリシャの前に立つと、ゲハジはまた嘘をつきました。エリシャが『どこへ行って来たのか。』と聞くと、『どこへも行きませんでした。』と答えたのです。このように嘘をついたのは、贈り物のことがエリヤにばれないためです。もし「ナアマンを追いかけて行きました。」などと言ったとすれば、エリシャは「どうして追いかけたのか。」と聞いたかもしれません。そうしたら贈り物のことで知られてしまうことにもなるのです。