【Ⅱ列王記1:10~15】(2024/11/24)
【1:10】
『すると、天から火が降って来て、彼と、その部下五十人を焼き尽くした。』
エリヤが隊長に宣告すると、その宣告の通り、天からの火が隊長と部下たちを焼き尽くします。神はこのようにしてエリヤが『神の人』であることを、まざまざと御示しになられました。この出来事は、50人隊と共にここまで来ていた者により、アハズヤに報告されたはずです。この時に火が降って来た様子は何も書かれていません。実際はどうだったか分かりませんが、その火は凄まじい勢いであった可能性もかなりあるでしょう。
【1:11】
『王はまた、もうひとりの五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。彼はエリヤに答えて言った。「神の人よ。王がこう申しております。急いで降りて来てください。」』
アハズヤ王は、自分が遣わした部隊が天からの火で焼き尽くされたことを、それを見た者からの報告により知ったはずです。アハズヤは、何としてもエリヤに会おうとしていたはずです。ですから、アハズヤはまた五十人隊をその隊長と共に、エリヤのところに遣わします。そのようにして遣わされた隊長は、先に遣わされた隊長が求めたのと同様、エリヤに対し王のもとに来るよう求めました。今度の隊長は『急いで』降りて来るようにと求めています。先の隊長はただ『降りて来てください。』と言うだけでした。このように『急いで』と言ったのは、アハズヤがどれだけエリヤに会うことを求めていたかよく示しているのでしょう。
【1:12】
『エリヤは彼らに答えて言った。「もし、私が神の人であるなら、天から火が降って来て、あなたと、あなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」』
2回目にやって来た隊長に対し、エリヤは1回目の隊長に対するのと同じ答えをしました。2回目にやって来た部隊が焼き尽くされるのも、やはりエリヤが神の人であることを示すためでした。その焼殺の出来事が、50人部隊と共にやって来た者によりアハズヤに告げ知らされるわけです。ですから、エリヤはここでも単なる脅迫としてこう言ったのではありません。エリヤは本当にこうなると分かっていたからこそ、このように言ったのです。
『すると、天から神の火が下って来て、彼と、その部下五十人を焼き尽くした。』
エリヤが隊長に焼殺を宣言すると、その宣言した通りになり、隊長とその部下たちはことごとく天からの火で焼き尽くされました。このように宣言通りの焼殺が2回も起こりました。ですから、エリヤが『神の人』であることは明らかでした。何故なら、聖書で事実は2回(または3回)の確認により証明されると定められているからです。もしエリヤが神の人でなければ、このような出来事は1回さえも起こらなかったかもしれません。
【1:13】
『王はまた、第三の五十人隊の長と、その部下五十人を遣わした。』
エリヤの宣告はアハズヤにとって極めて重大な内容でしたから、アハズヤは何とかしてエリヤを呼び出したいと願っていたはずです。ですから、アハズヤはまた50人部隊とその隊長をエリヤのもとに遣わします。これまで2回も隊長とその部隊が焼き尽くされたのですから、今度もまた焼き尽くされるかもしれないと思われたでしょう。しかし、それでもアハズヤは3度目の派遣を決定したのです。これは何としてでもアハズヤがエリヤから話を直に聞きたかったからなのでしょう。
【1:13~14】
『この三人目の五十人隊の長は上って行き、エリヤの前にひざまずき、懇願して言った。「神の人よ。どうか私のいのちと、このあなたのしもべ五十人のいのちとをお助けください。ご承知のように、天から火が下って来て、先のふたりの五十人隊の長と、彼らの部下五十人ずつとを、焼き尽くしてしまいました。今、私のいのちはお助けください。」』
3度目に遣わされた隊長は、先に2度も隊長とその部隊が焼き尽くされたことを、よく知っていたことでしょう。ですから、彼も前の2回と同じ運命に陥らないかと恐れていた可能性が高いはずです。このためでしょう、3人目の隊長は、前の2人とは全く異なる態度をエリヤに対して示しました。すなわち、彼は『エリヤの前にひざまずき、懇願し』、命を助けてほしいと言ったのです。彼はエリヤの前で謙虚な態度を取りました。先の2人の場合は、このようではありませんでした。先の2人は、ただエリヤをアハズヤ王の命令に従わせようとするのみでした。エリヤは神に仕える忠実な預言者でした。エリヤは神の働きをしていたのです。よって、エリヤに対しては、この3人目の隊長のように遜った態度を示すのが相応しかったのです。
【1:15】
『ヤハウェの使いがエリヤに、「彼といっしょに降りて行け。彼を恐れてはならない。」と言ったので、エリヤは立って、彼といっしょに王のところに下って行き、』
『ヤハウェの使い』については、もう既に述べておいた通りです。この『ヤハウェの使い』は、エリヤが王の使者と共にアハズヤのもとに行くよう命じます。先の2人であれば、ただ天からの火で焼き尽くされるだけでした。しかし、今度は使者がアハズヤ王において求めようとしている通りのことが為されるのです。どうして3人目の使者は、前の2人と違うようになったのでしょうか。それはまず第一に、この使者がエリヤに対し遜ったからでしょう。聖書が教える通り、神は遜る者に恵み深くして下さる御方なのです。第二に、エリヤが直にアハズヤ王に御言葉を語ることこそ神の御心だったからでしょう。焼き尽くされるのは、もうこれまでに遣わされた2人で十分だったのです。ですから、3人目の場合は、その遣わされた目的が実現されることとなりました。この時にヤハウェの使いが『彼を恐れてはならない。』とエリヤに言ったのは、エリヤに幾らかでも恐れが生じたからなのかもしれません。しかし、神は必ずエリヤをこの使者から守って下さいます。ですから、この使いはエリヤがいかなる恐れも抱かないため、このように言ったのでしょう。