【Ⅱ列王記2:2~6】(2024/12/08)


【2:2】
『エリシャは言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはベテルに下って行った。』
 エリシャは神を求めていましたから、エリヤから残るように命じられても、決してそれに従おうとしませんでした。このエリシャもそうですが、神を重視する者は神の人をも重視します。しかも、エリシャは神とエリヤの魂にかけて、『私は決してあなたから離れません。』と誓います。律法は神において誓うように命じています。ですから、エリシャが『主は生きておられ』ると言って神の御前で誓ったのは正しいことでした。しかし、律法は人間にかけて誓うようにとまで命じていません。ですから、エリシャが『あなたのたましいも生きています。』と言ってエリヤの前でも誓う必要はありませんでした。しかし、エリシャはエリヤに自分の強い決意を伝えるべく、エリヤの魂にかけても誓ったのです。このようにして2人は『ベテルに下って行った』のです。その歩みは恐らく徒歩だったでしょう。

【2:3】
『すると、ベテルの預言者のともがらがエリシャのところに出て来て、彼に言った。「きょう、主があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」』
 エリヤ時代のイスラエルには、多くの預言者がいました。エリヤとエリシャが行った『ベテル』にも、やはり預言者がいました。このベテルにいた『預言者のともがらがエリシャのところに出て来て』、これからエリヤが取り上げられることについて話をします。神はこの大いなる出来事について、あらかじめ御自分の預言者たちに告げ知らせておられたのでしょう。何故なら、神は何かをされる際、事前に御自分の預言者たちに告げ知らされる御方だからです。アモス書でこう書かれている通りです。『まことに、主は、ご自分のはかりごとを、御自分のしもべ、預言者たちに告げないでは、何事もなさらない。』ここで『ベテルの預言者のともがら』が言っている通り、エリヤはエリシャの『主人』でした。このため、エリシャは自分の主人であるエリヤに仕える歩みをしていたわけです。

『エリシャは、「私も知っているが、黙っていてください。」と答えた。』
 エリヤが取り上げられることを知っているかと聞いた預言者に対し、エリシャはそのことを『知っている』と答えます。エリシャは、神かエリヤからそのことを聞いていたので、知っていたのでしょう。しかし、主人が取り上げられるというのは辛いものです。多くの人であれば黙って考えないようにしたいと思うことでしょう。エリシャもそのようでした。ですから、エリシャはこの預言者に対し『黙っていてください。』と言い、そのことについて触れないよう求めたのだと思われます。

【2:4】
『それからエリヤは彼に、「エリシャ。ここにとどまっていなさい。主が私をエリコに遣わされたから。」と言った。』
 ベテルまで行ったエリヤとエリシャでしたが、エリヤは続いて主により『エリコに遣わされ』ることとなります。このエリコはベテルの東に20~30kmほど離れています。この際、エリヤはまたもエリシャを残して行こうとします。これもやはり先の場合と同じで、エリシャが本当に忠実であるかどうか試そうとしたのでしょう。

『しかし、彼は言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはエリコに来た。』
 エリシャはまたもエリヤの求めを拒みます。これはエリアヤが神に忠実であるため、その神に仕えているエリヤをも重視したからでしょう。このようにしてエリヤはエリシャと共にエリコまで行きましたが、この時の移動もやはり歩きだったと考えられます。

【2:5】
『エリコの預言者のともがらがエリシャに近づいて来て、彼に言った。「きょう、主があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っているが、黙っていてください。」と答えた。』
 先に見たベテルの場合と同じで、エリコにも『預言者のともがら』がいました。その預言者が、エリヤが取り上げられることについてエリシャに話します。しかし、エリシャは先の場合と同様、またも『黙っていてください。』と答えます。エリシャは神に忠実だったので、神の人であるエリヤから離れるのは耐え難いことだったのです。こうしてエリシャは二度もエリヤが取り上げられることについて考えないようにしました。これはエリシャがいかにエリヤから離れたくなかったかよく示しています。

【2:6】
『エリヤは彼に、「ここにとどまっていなさい。主が私をヨルダンに遣わされたから。」と言った。しかし、彼は言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、ふたりは進んで行った。』
 エリコに2人が着いてから、続いてエリヤは主により『ヨルダンに遣わされ』ることとなりました。ヨルダンはエリコからすぐ東に位置しています。この時も、やはりエリシャはエリヤの命令を拒み、決してエリヤから離れようとしませんでした。これでエリシャがエリヤから離れようとしなかったのは3度目です。これはエリシャがどれほど神と神の人に忠実であったかよく示しています。