週報:【聖書を読むことについて】(2020/12/27)


聖書は全部で66の巻から成り立っていますが、どの巻から読む必要があるのでしょうか。これは個人が自由に好きな巻から読めばよいことです。特にこの巻から読まなければならないといった決まりはありません。しかし、あえて言えばどの巻から読むのが適切なのでしょうか。この質問には、「4つの福音書から読み始めるのが望ましい。」と答えることができます。特にマルコの福音書から読むのがよいと私は思います。それというのも、マルコはキリストの公生涯を実に簡潔に書き記しているうえ、マルコの福音書は4つの福音書の中でもっとも短いからです。マタイの福音書は2番目以降にしたほうがよいでしょう。何故なら、最初の第1章に書かれている系図を見て、読むのに抵抗を持たれる未信者の方は少なくないだろうからです。福音書の次は、使徒行伝と使徒書簡を読み進めるのがよいでしょう。新約聖書の最後の巻である黙示録は学者でも理解できない巻ですから、私から解読の指導を受けるというのでもない限りは、ずっと後でも問題ありません。旧約聖書では、何よりも創世記と詩篇が読まれるべきです。創世記では天地の創造や人間の堕落、聖なる父祖たちの歴史などといった非常に重要な事柄が多く書かれているからです。詩篇は、神を崇拝し賛美するというのがどのようなことなのかよく分かります。ソロモンによる箴言と伝道者の書も、読んでおくのがよいでしょう。預言者の書については、非常に難しい内容が満ちていますから、後になってから読んでも大丈夫でしょう。旧約聖書で最も良い読み方は、創世記から初めて順々に読み進めていくという読み方です。そうすれば、話の流れが把握しやすいからです。黙示録と預言者の書については、最初から理解できないという前提で読んだほうがよいでしょう。これは、神学的な訓練を相当積んでいなければ理解するのが難しい巻だからです。聖書を読む際には何よりも、聖書の中で語られているのはイエス・キリストとその救いであるという点を忘れないようにする必要があります。この点について留意していないと、聖書を読んでも何が言われているのか分からないままの状態に留め置かれます。芥川龍之介はこの点に注意していなかったので、自殺する時まで聖書で何が言われているのか理解することが出来ませんでした。何故なら、聖書の本質はこのイエス・キリストだからです。本質を弁えていないのに、どうして聖書を正しく読み解けるはずがありましょうか。