週報:【祝福の前に苦難あり】(2021/09/19)


この宇宙が創造されてから6000年の歴史を見てみると分かる通り、新しい時代の始まる前には世界的な恐るべき災いが起きています。そのような災いは私の知る限り3つあります。まず一つ目は、創世記に書かれている大洪水です。聖書によれば、これは地球規模の大洪水でした(創世記7:19~20)。この時に生き残ったのはノアとその家族だけでした。これはあまりにも大きな災いです。高い山に貝殻や魚の死骸が見つかることからも、この洪水が世界的な規模だったと分かります。あのダーウィンも2000m級の山で貝殻を見つけたので非常に驚いています(『ビーグル号就航記』)。この大洪水が起きると、人類社会は新しい時代となりました。それ以降の時代は、かつてほどの邪悪さがなくなったのです。洪水前の時代は今では考えられないほどの暴虐が満ちていました(創世記6:11~12)。二つ目は、14世紀に起きた黒死病です。これは人類史上最も多くの死者を出したパンデミックであり、7500万~2億人の人が死んだとされます。当時の世界人口が4億人ぐらいですから、これは物凄い死者数です。これによりヨーロッパの人間は30~60%が死にました。ところが、この恐るべき災いから暫くするとルネサンスが始まり、間もなく宗教改革も起こり、近代社会の幕開けとなりました。もう「中世」は終わりを告げたのです。これ以降、人類社会は知的また物質的な発達を次々に遂げていくこととなります。三つ目は、20世紀に起きた2度の世界大戦です。このように大規模かつ悲惨な戦争はかつてなく、この2つの大戦での総死者数はだいたい1億人近くにもなります。これも全世界に降り注がれた悲惨な災いです。しかし、戦後になると時代が新しくなりました。今でもよく「戦前」と「戦後」で時代を区別しているのが、これをよく示しています。戦後は、人権意識や平和に関する考えをはじめ主に倫理面で、それまでの時代とは大きく変わりました。また、ここ日本もそうですが戦後は世界的に概ね平和と安全が享受できる時代となっています。さて、私たちにとって重要なのは、現在のコロナ問題が今述べた「新しい時代の前には世界的な悲惨が起こる。」という命題に当てはまるのかどうかということです。上に書いた3つの例を見るならば、この命題自体は真実であるとしてよいでしょう。しかし、コロナ問題がこの命題に該当するかといえば、やや疑問に感じられます。何故なら、コロナは感染者が2億人にもなっており悲惨であるものの、死者数としては現在455万人であり、上の3つと比べると比率的には少ないからです。しかし、もしこのコロナ問題が上の3つに加えられる4つ目の世界的悲惨だとすれば、コロナ問題の終焉後には新しい時代がやってくるのでしょう。要するに、神は新しい時代の前には、人類に大きな試練を与えられるのです。幸いや繁栄を得るためには忍耐が必要です。苦しい出来事に耐え抜いて良しとされると、恵みが豊かに注がれるのです。これは人類社会だけでなく集団や個人でも同様です。ユダヤ民族は至福の地カナンに入る前には長らくエジプトでの奴隷生活を耐えねばなりませんでしたし、ヨブも更なる幸いを得るためには誠に悲惨な不幸を味わわなければいけませんでした。つまり薬や治療と同じで、まず最初に苦しむからこそ永続的な幸いがやってくることになるのです。